排卵誘起薬(hCG、GnRHa)

① 尿由来hCG製剤 
② 遺伝子組換え型hCG製剤 
③ GnRH誘導体製剤(点鼻薬)

黄体形成ホルモン(LH)の一過性のピーク(LHサージ)によって卵子の減数分裂が再開し、排卵直前に第一減数分裂が完了して排卵が起こります。また、排卵後にも一定のLHが分泌されることにより卵巣での黄体化を維持促進します。そのためLHは排卵誘発治療には必要不可欠なホルモンです。しかし、LHの半減期は20分と短く、治療に使えるLH製剤は存在しませんでした。

① 尿由来hCG製剤:
ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)は、妊娠中に胎盤絨毛から分泌されるホルモンです。hCGはLHと分子構造が類似しており、強力に卵子の成熟を促し、排卵後の黄体を刺激する作用があります。hCGは半減期が約30時間と長く、また妊婦尿から精製できるのでLHの代わりに薬剤として利用されています。

ゴナドトロピン療法では、ヒト閉経期性腺刺激ホルモン(hMG)投与による卵胞成熟後に、排卵誘起にhCG : 5000~10000単位を1回、黄体維持には1000~3000単位を2~3日間隔で投与します。

② 遺伝子組換え型hCG製剤:
遺伝子組換え型hCG製剤(オビドレル®)が2017年より市販されています。排卵誘起のため250μgを単回皮下投与します。臨床効果は尿由来hCG製剤と同様ですが、遺伝子組換えであるため、製品の安定供給、ロット間のばらつきがない、不純物や感染症病原体の混入がないなどの利点があります。また、医療機関において適切な在宅自己注射教育を受けた患者または家族は在宅自己注射できます。

GnRH誘導体製剤(点鼻薬):
一般名:ブセレリン酢酸塩噴霧剤スプレキュア®ブセレリン®)。生体にGnRH誘導体を投与すると、一過性に性腺刺激ホルモン分泌が促進されます(フレアアップ)。このフレアアップにより内因性のLH分泌が起こるので、排卵誘起薬として利用できます。通常は、点鼻薬で600μg程度投与することにより、内因性LHサージが起こります。GnRH誘導体の作用時間はhCG製剤に比較して作用時間がきわめて短いため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を起こしにくいとされています。

参考文献:
今すぐ知りたい!不妊治療Q&A、久慈直昭ら編、医学書院、2019、p65

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