卵巣予備能(ovarian reserve)
卵巣予備能は卵巣に存在する卵子の量と質の両方を指す単語である。卵巣予備能は加齢とともに低下し、それに伴い妊孕能(にんようのう)が低下する。
卵巣予備能を評価する検査として、血清FSH基礎値(FSH)、胞状卵胞数(antral follicle count ; AFC)、血清抗ミュラー管ホルモン値(anti-Müllerian hormone ; AMH)が挙げられる。
卵胞刺激ホルモン(FSH):
FSH値は月経周期により変動するため月経周期3~5日目に採血する必要がある。卵巣機能が低下するとFSH基礎値は上昇する。ホルモン療法中の患者では参考にならない。
胞状卵胞数(AFC):
月経周期3~5目に、経腟超音波法にて両側卵巣の径2~10mm大の胞状卵胞数を計測する。ホルモン療法中の患者では参考にならない。AFC<5~7個の場合、卵巣予備能低下と判断する。
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抗ミュラー管ホルモン(AMH):
AMH値は卵巣内に残存する原始卵胞の数と比例する。25歳から評価が可能であり、年齢とともに低下する。25歳未満の女性は卵巣予備能とAMH値が相関してない。AMH<0.5~1.1ng/mlの場合、卵巣予備能低下と判断する。
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妊娠にとって卵子の数のみではなく質が重要であるが、AMH値は卵子の数のみを反映し、卵子の質を評価することはできない。卵子の質を正確に表す指標は現在のところ存在しない。卵巣の質の低下は、女性の妊孕能低下、妊娠後の流産や染色体異常の増加などと関係している。流産や染色体異常の発症は加齢とともに指数関数的に増加する。つまり、AMHが高くても、卵巣の質は年齢とともに急激に低下していることを考慮すべきである。
参考記事:
抗ミュラー管ホルモン(AMH)
早発卵巣不全(POI)
女性の年齢と妊孕能(にんようのう)
参考文献:
生殖医療ポケットマニュアル、吉村泰典監修、医学書院、2014
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