男女別の不妊原因の頻度(WHO、1996)
女性のみ:41%、男性のみ:24%、男女とも:24%、原因不明:11%
不妊原因は女性に多いが、「男性のみ」「男女とも」の合計は48%で、約半数は男性に不妊原因があります。
卵管閉塞、無排卵症、重度の乏精子症・無精子症は不妊期間を問わず妊娠のために医療介入が必要です。
女性不妊症:
不妊原因の女性因子は、卵巣因子、卵管因子、子宮因子、免疫因子に分けられます。
(1) 卵巣因子:
①排卵障害
・ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)への反応性低下
・視床下部性(ストレス、ダイエット)
・下垂体性(ゴナドトロピン分泌低下)
・高プロラクチン血症
・多嚢胞性卵巣症候群
②黄体機能不全
③卵巣予備能の低下
・加齢が原因の卵巣予備能低下
・早発卵巣不全(POI)
・子宮内膜症、卵巣手術、悪性腫瘍に対する化学療法など
(2) 卵管因子:
①卵管閉塞
②ピックアップ障害(排卵された卵子を卵管内に取り込めない)
⇒検査が不可能のため原因不明不妊となる
③配偶子(精子・卵子)や受精卵の卵管輸送ができない
⇒検査が不可能のため原因不明不妊となる
(3) 子宮因子:
・着床障害
粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮腔癒着症、中隔子宮など
・頸管因子(精子が子宮内に侵入できない)
子宮頸管狭窄、精子の頸管粘液不適合
⇒配偶者間人工授精(AIH)で妊娠は可能
(4) 免疫因子:
抗精子抗体(特に精子不動化抗体)を産生する女性では、抗体が頸管粘液内にも分泌され、精子の通過を妨げます。また卵管内にも精子不動化抗体は分泌され、人工授精で精子を子宮腔の奥まで注入しても卵管内でその通過が妨げられます。さらに精子不動化抗体は受精を妨害し不妊症の原因なります。
男性不妊症:
① 造精機能障害
② 精路障害
③ 性機能障害
勃起不全(ED)、性交障害
④ 免疫因子
精子に対する自己免疫もしくは同種免疫
⇒重度の乏精子症・無精子症の原因となる
原因不明不妊症
原因不明不妊は、一次検査で評価が難しい病態か、検査が不可能な不妊原因があるか、偶発的に妊娠できていないことなどが考えられます。
検査が不可能な不妊原因:
①卵管疎通性のある卵管機能障害 ⇒生殖補助医療で妊娠可能
②受精障害 ⇒生殖補助医療で妊娠可能
③器質的疾患のない着床障害 ⇒治療が困難なことが多い
参考文献:
データから考える不妊症・不育症治療、竹田省ら編、メディカルビュー社、2017
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