不妊症の原因検索としての一次検査

不妊症は1つの原因が見つかっても他の原因がないとはいえず、網羅的に検査を勧めていく必要があります。『産婦人科診療ガイドライン・婦人科外来編2020』には比較的簡便な以下の一次検査が示されています。

①基礎体温測定
基礎体温測定は、排卵や黄体機能を簡易的に評価でき、検査の日程を決めるうえでも有用です。

基礎体温

②超音波検査
超音波検査は子宮および卵巣の状態観察に必須の検査です。また、経腟超音波検査は卵胞発育モニタリングに欠かせません。子宮内腔の形態評価にはソノヒステログラフィー(SHG)が有用です。

子宮内膜ポリープ(SHG)

③内分泌検査
黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、エストラジオール(E₂)、プロラクチン(PRL)、プロゲステロン(P₄)、テストステロン(T)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の測定。(月経周期とホルモンの変化
・LH、FSH、E₂の3項目は月経周期3~7日目に測定する。
・乳汁分泌、排卵障害が認められる症例ではPRL測定が勧められます(高PRL血症)。多嚢胞性卵巣症候群を疑う症例では併せてテストステロンを測定します。
・P₄測定は黄体機能不全を疑う症例で黄体期中期に実施します。

クラミジア抗体検査あるいは核酸増幅検査
・クラミジア抗体検査(IgG、IgA):クラミジア感染の既往の有無の診断に有用です
・子宮頸管のPCR検査:検査時点でのクラミジア感染の有無の診断に有用です

⑤卵管疎通性検査
子宮卵管造影、超音波下卵管通水法、卵管通気法。

正常像(HSG)

⑥精液検査
男性因子の評価に必要な検査です。治療に先立って実施することが勧められます。

⑦頸管粘液検査
頸管粘液検査、精子子宮頸管適合検査(フーナーテスト)。これらの検査は排卵期に実施することが重要です。

参考文献:
産婦人科診療ガイドライン・婦人科外来編2020、日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会、2020

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