antisperm antibody (ASA)
男性の抗精子抗体保有率は約3%と言われています。男性では抗精子抗体が自己抗体として産生されて、免疫性不妊の原因となることがあります。抗精子抗体の生物活性は多様で必ずしも男性不妊の原因となるわけではありませんが、不妊男性の抗精子抗体が強陽性であれば顕微授精の適応が推奨されます。
男性にとって精子は自己が産生する細胞で、血液-精巣関門により精子免疫が誘導されにくい環境にあります。しかし、過去に、精巣、精巣上体に炎症や損傷があった場合などに、精子が自分の血液と接して抗精子抗体が産生される可能性があります。
男性が抗精子抗体を保有する場合、精液が射精された時点で精子にはすでに抗体が付着し、精子の運動率が著明に低下している場合も多いです。精子自体に受精能があることを必要とする体外受精では受精率が低下するので、基本的に顕微授精の適応が推奨されます。
参考文献:
1)今すぐ知りたい!不妊治療Q&A、久慈直昭ら編、医学書院、2019、p117
2)生殖医療ポケットマニュアル、吉村泰典監修、医学書院、2014
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