クラミジア・トラコマティス(CT)は、眼瞼結膜、尿道、子宮頚管、咽頭などに感染します。性器クラミジア感染症は我が国の性感染症の中で最も患者数が多く、男性では尿道炎と精巣上体炎を引き起こし、女性では子宮頸管炎、子宮付属器(卵管)炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)を引き起こします。男女とも無症候性の保菌者が多数存在し、女性では無症候のまま卵管障害、卵管周囲癒着、腹腔内癒着を引き起こし、卵管性不妊や異所性妊娠の原因となります。
クラミジア感染の検査法
①子宮頸管の核酸増幅法検査
診断は核酸増幅法(PCR法、SDA法、TMA法など)を用い子宮頸管擦過検体よりクラミジアを検出します。クラミジア陽性者の約10%が淋菌感染症を合併するため、特に有症状例では、クラミジアと淋菌の同時検査を行うことが推奨されます。
②クラミジア抗体検査
IgG、IgAが定量測定されます。クラミジア抗体検査は既往感染を反映し、治療後も陽性が一定期間持続します。クラミジア感染女性において、腹腔内に感染が及んでいても子宮頸管からクラミジアが検出されない場合があります。したがって、抗体が陽性で治療歴がなければ治療対象となります。
クラミジア感染の治療法
①軽症であれば経口抗菌薬で治療が可能です。
・ジスロマック錠250mg、1回4錠
・クラリス錠200mg、1回1錠、1日2回、7日間
・クラビット錠500mg、1回1錠、1日1回、7日間
②重症例では入院管理とし点滴静注を行います。
・ミノマイシン点滴静注用100mgを1日2回、3~5日間
・ジスロマック点滴静注用500mgを1~2日間、その後、ジスロマック錠250mgを1日1回投与、総投与期間7日
③治癒判定は、抗菌剤投与後3週間以上あけて、子宮頸管擦過検体の核酸増幅法で陰性を確認します。抗体検査では治癒判定できません。
④性感染症の特性としてパートナーが存在するので、治療行為はその双方に同時に行う必要があります。
参考文献:
1) 産婦人科診療ガイドライン・婦人科外来編2020、日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会、2020
2) 生殖医療ポケットマニュアル、吉村泰典監修、医学書院、2014
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